2023年6月1日より、欧州で単一効特許および統一特許裁判所の制度が導入されます。
1.従来の欧州特許
欧州特許は、従来、許可後に各EPC加盟国に移行していました。
移行した各国で侵害訴訟および無効手続を行っていました。
2.単一効特許
今後は、単一効特許も選択できます。単一効特許は、EU内の24ケ国をカバーします。
ただしEU非加盟国(イギリス、スイスなど)と、UPCA非批准国(スペイン、クロアチア、ポーランド)はカバーしません。
これらの国は、従来通り欧州特許を個別に有効化(validation)する必要があります。
3.統一特許裁判所
新制度導入後は、単一効特許だけでなく、各EPC加盟国に移行した欧州特許も、既に登録された欧州特許も統一特許裁判所が侵害裁判、無効手続きを行います。ただし既に登録された欧州特許は、制度開始から7年間(+最大延長7年)、各国で個別に裁判を提起することもできます。
4.除外手続「オプトアウト」
既に登録された欧州特許を統一特許裁判所の管轄から除外したい場合は、サンライズ期間(2023年3月1日~2023年5月31日)に手続きをすることができます。これにより、既存の欧州特許を、新制度開始後も各国の裁判所の管轄下に置くことができます。その結果、全批准国で一度に無効となるセントラルアタックを回避することができます。
ただし、無効手続きをするケースは、費用も掛かるためそれほど多くはありません。
また、統一特許裁判所の方が権利者に有利な判断する可能性もあるかもしれません。
これらをご参考に、オプトアウトをご希望するか否かをご検討いただければと思います。
5.単一効特許を取得すべきか
3~4カ国以上の批准国で特許を取得したい場合は、単一効特許がお勧めです。
初期費用が単一効特許の方が低くなるからです。重要な特許は、各国に移行することがお勧めです。
各国の特許毎に無効の手続きが必要になるため、全批准国で一度に無効になるセントラルアタックを避けることができます。
【参考URL】
欧州単一効特許に関するアップデート (日本特許庁)
https://okada-patent.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/06_keynote5_jp.pdf